『ファウストの悪夢』 考察

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フリーゲームファウストの悪夢』の内容考察です。クリアした方だけが分かるような不親切な考察です。
隠しエンドまで思いっきりネタバレしていますので、未プレイ・未クリアの方はご注意を。

不確定のものや間違っているものもあるかもしれませんが、一個人の考察・妄想とお考えください。

 

 

※※ここからネタバレ※※

 

 


初めに、前提として以下のようになっています。
・シベル、ジベル、シーベルの表記があるがここではシベルに統一。
・マルガレーテの恋人はハインリヒ、ハインリヒは主人公の父親ヘンリー・ファウストと同一人物である。
・マルガレーテは死亡している。主人公が迷い込んだ館にはマルガレーテ、シベル、三つ子(ポルキアス)の魂が捕らわれており、彼らの記憶も吸い取っているので病院や新しい家などの配置がごちゃ混ぜになっている。
・主人公とイリザベスはワグナー医師たちの実験の対象、材料であった。三つ子も同じく。


作中にて登場したものからの登場人物のまとめ、時系列、メモ、の順になっています。

 

 


◆登場人物のまとめ

・マルガレーテ
正式な名前は、マルガレーテ・シェーン・ヴォン・スナイダー。
主人公の母。血は繋がっておらず、義理の母である。市長の娘であり、裕福な出身であったようだ。
常人には見えないものを見る能力があった?(不確定) しかしそのために幼い頃より病院に入院しており、主治医であるダイアン・ワグナーの世話になっていた。長年ワグナー医師と接している内に彼女を母、病院を自身の家だと思うようになっている。
身体も健康体とは言えず精神も細めの女性で、恋をした相手(ハインリヒ)と駆け落ちのような形で結ばれたがその後の生活も上手く行かず、自身が出した手紙で住居を突き止めて来訪した兄のヴァランティンと諍いの途中で誤って彼をバルコニーから突き落としてしまう。結果、ヴァランティンは死亡しマルガレーテはそのショックで流産した。しかしそれを認められず夢想の世界に逃げ込み、ハインリヒの連れてきたイリザベスを本当の子供だと思い込む。
しかしハインリヒが自身を愛していない事に気付いており、シベルと彼が話しているのを『自分の悪口を言っている』と悪い方向に考えてしまい、シベルを絞殺する。
その後に別の要因で死亡したようで、OP時点では既に故人だと思われる。また、彼女の魂もこの館に留まっていたようで、夢の続きを見ていた。隠しエンドでは主人公がそれを醒まさせようとするが、皮肉にもそこで悲劇を繰り返す事により過去の真実が明らかになる。


・ハインリヒ
マルガレーテの夫でありダイアン・ワグナーの研究のパートナー。
恐らく主人公の父の『ヘンリー・ファウスト』と同一人物であると思われる。(ハインリヒはヘンリーのドイツ語版人名)
彼の目的は断片的でしか垣間見れないが、恐らくホムンクルスを作り出す事ではないか、と思われる。その過程で非人道的な手段も取っており、シベルが病院に訪れる事を自分を告発するためではないかと疑っている。
マルガレーテを『市長のあわれな娘』と称していたり、スポンサーの娘としての価値しか見出していないような描写がある。
しかしマルガレーテと駆け落ち同然に逃げたり、そこで長年生活を共にしていたり彼女のために双子を引き取ったりと、もしかすると次第に心を傾けるようになっていたのかもしれないが、少なくともマルガレーテは彼に愛されていないと思っていた。そして正式に結婚もしていない。
主人公は父の事をよく知らないようなので、もしかするとマルガレーテの死後に娘たちとは離れて暮らしていたのかもしれない。


・シベル
マルガレーテの世話係?の青年。
家族や親類ではないようだが、過去にボロボロだった時にマルガレーテに救って貰った事があり、以来彼女に一途に尽くしている。
ワグナー医師の裏の仕事の名簿にマルガレーテの名が載っている事を知り、彼女を殺害して隠蔽してしまったような描写がある。
マルガレーテとハインリヒの駆け落ちにも手を貸しており、その後の生活も陰日向に支えている。ヴァランティンの死体を隠蔽したのも彼で、その時に汚れたネックレスを庭に埋めた。
ハインリヒが双子を引き取った時、明るいイリザベスはマルガレーテに気に入られるが無口な主人公はそうではなく、マルガレーテとイリザベスが面会している間、主人公とシベルは廊下で共に待っていた。誠実な人柄であり主人公の事も気にかけてくれた人間で、ピアノを教えたり一緒に絵を描いたりと接している内に主人公に懐かれる。
しかしマルガレーテの現実逃避が進行するにつれて自身を忘れられてしまい、それでも彼女に尽くそうとハインリヒに彼女の事を頼み込んでいた。しかしそれがマルガレーテに誤解されてしまう。
最後にはマルガレーテの現実逃避を良くないと判断し、彼女に嫌われたくなくて共に夢想に逃げ込むのではなく手を取って一緒に辛い現実に帰るべきだと、マルガレーテに会いに行く。恐らくその時に主人公も共に会いに行ったと思われるが、結果はマルガレーテが逆上し絞殺される。
その後も魂として館に捕らわれていたようだが、猫の姿を借りて主人公を助けてくれる。


・ヴァランティン
マルガレーテの兄。妹想いの兄ではあるが同時に道徳や規律といったものも重んじており、駆け落ちしたマルガレーテの居場所を突き止めて連れ戻しに来たが、マルガレーテが未婚のままハインリヒの子を身篭っていると知り逆上して罵倒したらしき描写がある。
その結果、事故とはいえマルガレーテにバルコニーから突き落とされ死亡、その魂は館に捕らわれ死亡した庭から地下室付近をマルガレーテを探し彷徨い続けている。


ホムンクルス
館の中で度々出会う瓜二つの少女(少年?)。
しかしそれは主人公自身が『イリザベス』となるために、無口で無愛想な『自分』を誰かに押し付ける必要があったために生み出されたドッペルゲンガーのようなもの。
絵本のピノキオの役割も持っており、帽子が丸太のような形と模様をしている。
名称『ホムンクルス』は主人公が自分とイリザベスの双子姉妹をそのようなものと認識していたため。
登場した時の三人称は『彼』だったがその後は少女扱いをされているので、単なる誤植?


・ポルキア
3匹の子豚の役割を持つもの。
ワグナー医師の研究のためにいた子供で、恐らく主人公とイリザベスと同じ病棟にいた。三つ子であり、彼らをマルガレーテに目撃された時にハインリヒは咄嗟に『妖精だ』と言ってしまう。
本編中では主人公が過去にあった嫌な事や恐怖を感じた出来事を再現する悪夢の役割を持っている。末っ子が特に乱暴者、らしい。
『名冊』にて名前の載っていた、ミュラー姓3人がこの三つ子だと思われる。角膜、とあるので目を奪われた?
最後の鬼ごっこで、「あなたたちは特別だよ」 「あなたたちだけが連れて行かれないよ」 「あなたたちだけがパパとママを手に入れるよ」との言葉によると、主人公双子以外はどこかに『連れて行かれ』たようだ。恐らく何らかの方法で処分された?


・ダイアン・ワグナー
ヴッパーダール総合療養所の院長。女性。
マルガレーテに母と慕われている女性で、裏では違法?な臓器提供と非人道的な研究をしていたようだ。ハインリヒを研究のパートナーとしてそこまで信頼していないような描写がある。
恐らくシベルに殺害され、池の近くに埋められたようだ。そのため失踪扱いになっている。


・主人公
本物のイリザベスと双子の姉妹で、ハインリヒに引き取られマルガレーテの娘になる。
本人は無口で無愛想だが双子のイリザベスは明るく誰にでも好かれる少女で、彼女に憧れていた。
ハインリヒ・マルガレーテに引き取られてもどちらにも心を許していなかったような描写があり、引き取られた家についても懐疑的であったようだ。しかしシベルと仲良くなるにつれ彼の事は信頼していたようで、ピアノを上手く弾けるようになると手を引いて連れて来たりと少女らしい所も見せている。館で拾う絵本や落書きは彼女によるもの。しかしピノキオだけはタッチが違うので別の作者かもしれない。
マルガレーテがシベルを絞殺した現場にも居合わせていたようで、もしかするとそのために父により遠ざけられていたのかもしれない。
OPの時点で恐らく彼女の夢の中・異なった記憶の中であり、父の葬儀の後に1人で館に来て眠りにつき、メフィストとの契約によりこの悪夢の世界に来た。
その結果として過去の記憶やシベルから聞いていた話、同じ場所にいたシベルやマルガレーテの魂の記憶も引継ぎ館が再現されていた。
メフィストとの賭けで『安寧に浸らない、1秒たりとも素晴らしい・ちょっと待ってと言わない』と誓っており、つまり実はトゥルーエンドも夢から醒めていない(影の自分に向かい「待って」と言ってしまったため)。
出自が特殊であった可能性があり、自分や双子のイリザベスをホムンクルスのような存在だと考えている。
持っているぬいぐるみは父に貰ったもののようだ。
『名冊』にて名前の載っていた、
イ■■■■・メイヤー
■■■・メイヤー
が恐らく双子の本当の名前だと思われる。つまり本名のファーストネームは3文字?

この2人とマルガレーテだけは身体の部位が不明記であった。


メフィストフェレス
主人公と契約を交わした悪魔。自称・全てを否定する精霊。
主人公を『イリザベス』の名で呼び、夢の中に引き止めておこうとする。その目的が主人公の魂を奪うためか彼女の安寧を永遠に捧げるためかは判別つかないが、そのためならば主人公に尽くすつもりでいる。
……が、本人の価値観がかなりズレているため、主人公にとっては訳解らん事を言う人、な状態である。
シベルの事もポルキアスの事も嫌っている。が、ポルキアスについては恐らくそれより以前に主人公から聞いた印象であり、本人達に出会った事はないという。(ぬいぐるみに向かって主人公が愚痴っていたのかもしれない)

 

 

◆時系列まとめ

■10月
・マルガレーテは雪でワグナー医師から外出を禁じられる、ハインリヒはマルガレーテに会いに来るシベルを警戒する。
■11月
・マルガレーテが三つ子を見る、ハインリヒはそれを妖精だと誤魔化す。
・雪が深くなり、マルガレーテの精神が追いつめられる。見えないもの、妖精の三つ子に怯える。
・8日、ハインリヒがマルガレーテに共にここから出ようと言う。ワグナー医師はそれに反対し怒り、2人が会う事を禁じる。
・雪が止まず、三つ子が元の場所に帰れなくなり院内で騒ぎだす。マルガレーテの精神が更に追い詰められる。シベルはそれをいぶかしむがワグナー医師は何も教えない。
・30日、ハインリヒやワグナー医師の『研究の材料』が尽きる。
■12月
・マルガレーテは部屋の中に何かの気配を感じる。
・11日、シベルがハインリヒにマルガレーテの愛に応えてくださいと頼む。
・13日、大雪によりシベルが病院に泊まる。ハインリヒはシベルを警戒、シベルの病院についての印象が『恐ろしい場所』に変わる。
・14日、ハインリヒに心変わりがあったのかシベルに地下室の鍵を渡す。シベルは地下室に行ってみたようだが特に記されている事はない。
・26日、恐らくシベルがワグナー医師を殺害、死体を池の側に埋めるか沈めるかして隠蔽。ハインリヒやマルガレーテと共に病院から離れる。
■翌年、春
・シベルからヴァランティンへ手紙。ワグナー医師は失踪扱いになっており、3人が新天地にいる事が判明する。
■4月
・シベルのメモにより、彼がワグナー医師を斧で殺害した事、その時に汚れたブレスレットを捨てた事、名冊にマルガレーテの名前がありカッとなっての犯行である事、ハインリヒにその後を頼んだ事が判明する。
■5月
・新天地にてマルガレーテは落ち着いているが、兄のヴァランティンがそこへ向かってくると知り動揺している。
■7月
・マルガレーテがハインリヒの子を身篭る。しかし未婚の妊娠であったため、当時のそれは反社会的であったため、彼女の世話をするナースや他の者に噂になる。その事でマルガレーテは更に精神が不安定になる。
・シベルに頼みヴァランティンへ手紙を出すが、受取人不在で返って来る。
■8月
・ヴァランティンが来訪してマルガレーテと揉め、バルコニーから墜落して死亡する。そのショックでマルガレーテは流産してしまう。
・15日、ハインリヒがイリザベスと主人公の双子を連れて来る。療養所は閉鎖して持ち主がヘンリー・ファウストのものになっている。(ハインリヒの偽名? 病院を買い取った?)
・双子は療養所が閉まる前に医者がシェルターから連れていた『売れなかった商品』。
・イリザベスの強い希望で主人公も共に養子になる。しかしマルガレーテとはイリザベスしか会えず、主人公は孤立していた。主人公は待っている間、ぬいぐるみとお喋りをして過ごす。マルガレーテはイリザベスを本当の子だと思い込む。
・マルガレーテの症状が進行し、シベルが誰であるか解らなくなっている。
■9月
・シベルと主人公は次第に仲良くなっていく。だがマルガレーテの症状は更に進行し、過去の事や嫌な事を全て忘れて恋人と子供と夢の世界に浸るようになる。
・28日、シベルは決心してマルガレーテを夢の世界から現実に戻すために彼女の部屋に向かおうとする。
・恐らく、その後に絞殺されたと思われる。
■???(数年後)
・主人公が館に来る。(現実での父親の葬儀後かどうかは不明)
・そこで眠りにつき、メフィストと契約、夢を見る。そしてその事を忘れ、ゲームのOPまたは開始後に。
~ゲーム内容~
メフィストとの賭けに勝ち、現実に戻る。そこに病院で働いていた、もしくは駆け落ち後の館で働いていたナースが訪れる。

 

 


◆メモ
・館に入り最初に会った猫はシベルではない?(首の飾りをつけていない)
・ぬいぐるみは初めてメフィストに会い意識を失って寝室で目覚めた後に持つようになる(これより前には持っていなかった、所持後も特に説明もなし)
・寝室の横、人形のある部屋はポルキアスの部屋らしい。
・ピアノ室でピアノを弾いていたのはマルガレーテ?
・昼の庭へ出る扉を最初に調べた時につくヒヅメ跡はメフィストのもの?(ブーツの先がヒヅメ・恐らく本体の下半身はヤギっぽい)